2020 年度
私は二度と同じことはしません
絵:ジュタ・マンウィン
ひとりの女の子が、お母さんに煮込んでいるカレーを見張っているよう頼まれましたが、言われたことを守れず、火事がおこってしまいます。このことを通じ、子どもたちが火災の怖さと親の言いつけを守ることの大切さを学ぶことができるおはなしです。
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弟とお父さん、お母さんと一緒に暮らすムー・ポーちゃんが主人公。
お母さんは外出の際に、よくムー・ポーちゃんに煮込み料理の火加減の見張りを頼みます。暑い時期のある日、いつものようにポーちゃんにカレーの見張りを頼みました。しかし、ポーちゃんはお友達の誘いを断れず、カレーから目を離し遊びに行ってしまい、それが原因で火事がおきてしまいます。そのことを通して、火災の怖さと親の言いつけを守ることの大切さを学ぶことができるおはなしです。
絵本のおはなしは誰がつくったの?
『私は二度と同じことはしません』(カレン語版)のおはなしは、ボランティアとしてキャンプを支援するNGO団体に関わっているノー・ワ・ブロー氏により、キャンプ内で実際に起こった火災事例を基につくられたオリジナルのストーリーです。
絵は誰がかいたの?
絵は、タイ国内に暮らすジュタ・マンウィン氏によって描かれました。彼はタイの美術学校を卒業し、タイ国内で働いていますが、自分の持つ技術を子どもの支援に活用したいとの思いを持っており、今回初めて参加してくれました。
どうやって出版したの?
シャンティ国際ボランティア会(SVA)の現地事務所の出版委員会と、カレン難民員会教育部会が協力して出版しました。絵本を作成するにあたり、7つの難民キャンプの住民やキャンプの外に暮らすNGO関係者から、おはなしのアイディアが集められ作品のテーマについて協議。難民キャンプでは毎年のように火災があり、キャンプを支援する各NGOは研修を通して火災の対策について住民に共有するようにしていますが、火災について書かれている本がなく、おはなしを通して、子どもたちにも火災の怖さに気付いてもらい、防火に役立てようとこのテーマが取り上げられました。
絵本ができるまで。できてから。
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1. カレン語、ビルマ語、英語で書かれたおはなしの原稿
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2. 編集者の作業の様子
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3. 出来上がったサンプルの確認作業
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4. 印刷が完了し納品された絵本
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5. 納品された絵本の配架準備
子どもたちの声
ノー・タ・エ・ポーさん
10歳
メラ難民キャンプ
私の名前はノー・タ・エ・ポーです。3人兄妹の2番目で、家族5人でこのキャンプに暮らしています。洗濯や料理、掃除をして、家のお手伝いをしています。時間のあるときは本を読むことや友達と遊ぶことが好きで、よく外でバレーボールやかくれんぼをしています。私は図書館が大好きで、学校の授業がない週末によく通っています。特に、読み聞かせやゲームといった活動が楽しいので好きです。
『私は二度と同じことをしません』という絵本の中の18-19ページで、お父さんとお母さんが火事を起こしたムーを許し、ムーが二度と同じ間違いをしないと決心するところが好きです。私もお父さんやお母さんのことを聞いて、火事に気を付けようと思いました。
将来の夢は学校の先生になることで、学校に行けない子どもたちを助けられるようになりたいです。この図書館をご支援してくださっている皆さまに、一度お会いしてお礼が言いたいです。本当にありがとうございます。
ソー・ペ・ペ・ワーくん
12歳
メラ難民キャンプ
僕の名前はソー・ペ・ペ・ワーといいます。一人っ子で、お母さんと2人で暮らしています。家では料理、皿洗い、お皿を拭くお手伝いをしています。時間のある時は友達と遊んでいて、よく追いかけっこをして遊んでいます。図書館には週に3回ほど行って、ゲームをしたり、読み聞かせを聞いたり、ゆっくり本を読んで楽しんでいます。
『私は二度と同じことをしません』という絵本で、僕の好きなところは8-9ページで、ムーがお母さんの言いつけを守らずに外へ遊びに行ってしまうところです。そのあと、ムーのおうちが火事になってしまうんですけどね。この絵本を読んで、僕もお母さんの言うことはしっかり聞こうと思いました。
将来の夢は医者になることで、困っている人を助け、年を取ったお母さんを支えられるようになりたいです。この図書館をご支援してくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
事業概要
- 1.事業名称:
- 2020年度ミャンマー(ビルマ)難民キャンプにおけるコミュニティ図書館を通じたノンフォーマル教育支援事業
- 2.協力団体:
- 難民キャンプ委員会、カレン難民委員会教育部会、キャンプ教育部会事務所、図書館委員会
- 3.支援者名:
- 株式会社 俄
- 4.事業実施団体:
- 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会
- 5.事業実施対象地:
- タイ国境 7ヵ所のミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
- 6.事業実施期間:
- 2020年1月~12月末日
- 7.事業受益者:
- 7難民キャンプ15館図書館利用者 延べ 180,001人(子ども:111,402人、18歳以上の大人:68,599人)