あの道を通ってはいけません

2019 年度

あの道を通ってはいけません

著者:ノー・セイ

絵:ピヤ・カヨー

泳げない女の子が、「川に入ってはいけない」という親の注意を守らず、溺れてしまいます。このシーンを通じ、子どもたちが自然災害の怖さと親の注意を守ることの大切さと学ぶことできるおはなしです。

絵本のおはなしは誰がつくったの?

『あの道を通ってはいけません』(カレン語版)のおはなしは、カレン難民委員会教育部会に所属するノー・セイ氏により実体験を交えながらつくられたオリジナルのストーリーです。

絵は誰がかいたの?

絵は、タイ国境で芸術活動、子ども支援活動を実施しているピヤ・カヨー氏によって描かれました。彼は、タイに住むカレン族を対象にした子ども発達支援センターで芸術や音楽を教える活動をしています。

どうやって出版したの?

シャンティ国際ボランティア会(SVA)の現地事務所の出版委員会と、カレン難民委員会教育部会が協力して出版しました。
絵本を作成するにあたり、カレン難民委員会教育部会と作品のテーマについて協議し、少しでも子どもたちが危険な道を選ばないよう伝えていきたいという意見から、自然災害の怖さを題材に、子どもが親の注意することを聞く意味を考えてほしいというおもいが込められた絵本が出版されました。キャンプでは毎年のように洪水や火災の被害があります。日頃から、キャンプに住む親は自然災害について、このおはなしに書かれているように子どもに気を付けるように伝えているため、大人や教員が、子どもとコミュニケーションを取る際にも使えるように作られました。

絵本ができるまで。できてから。

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド1

    1. カレン語で書かれたおはなしの原稿

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド2

    2. イラストレーターとの打ち合わせ

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド3

    3. お話に合わせて描かれたイラスト

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド4

    4. 出来上がったサンプルの確認作業

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド5

    5. 印刷が完了し、事務所に納品された絵本

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド6

    6. 完成した絵本

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド7

    7. 届いた新しい絵本を真剣に読む子ども

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド8

    8. 出版された新しい絵本の読み聞かせをする図書館青年ボランティア

子どもたちの声

エー・トウくん

エー・トウくん

6歳

ヌポ難民キャンプ

僕の名前はエー・トウです。ヌポ難民キャンプ第1小学校に通っています。僕の家族は4人家族で、お父さんとお母さんと10歳のお姉ちゃんと暮らしています。家では、ゴミ拾いなどをお母さんからお願いされたときだけしていたのですが、この本を読んで、もっと家事を手伝いたいと思いました。
休みの日は、家で車のおもちゃで遊んだり、友達と一緒に外で遊んだり、図書館に行っています。図書館には、沢山の絵本があって文字を読むのが得意ではない僕でも楽しめる本がたくさんあります。また、図書館で歌を歌ったり、ゲームをして遊ぶと新しい友達ができて、一緒に楽しむことができます。この新しい絵本は、大事なことを教えてくれます。大人のいうことを聞かないで、恐ろしい経験をした主人公が、それからはお母さんのいうことを聞くようになって、おうちの手伝いをするシーンが印象的でした。僕もお母さんに言われたことはよく聞いて、家の手伝いも積極的にしようと思うようになりました。将来は、先生になって子どもたちに色々な事を教えたいです。学校の教科だけでなく、この本に書かれているような大切なことも教えていきたいです。素敵な絵本をありがとうございました。僕のように字を読むのが得意ではない子どもたちも学べるように、これからも沢山の絵本を支援してくれるとうれしいです。ありがとうございました。

クー・クーさん

クー・クーさん

12歳

ヌポ難民キャンプ

私の名前は、クー・クー、12歳の5年生です。私には、姉と妹が1人ずつと、弟が1人いて、両親を合わせた6人家族で暮らしています。
私は、図書館に毎日通っています。平日は午前の授業後、午後の授業までに2時間くらいの休憩があります。私は、図書館近くの学校に通っているので、この休憩時間を利用して、図書館に行って読書をしています。物語や雑誌など様々な本を読んでいますが、図書館で行われるゲームに参加するのも楽しいです。新しい絵本は、私たちの生活に大切な教訓を教えてくれる本だと感じました。特に、親や先生など目上の人々のいうことはしっかり聞くようにしなくてはいけないと思うようになりました。また、私たちに身近な状況の絵が描かれているため、とても理解しやすいです。本当に雨季には、道はドロドロになることが多いですし、川が氾濫することもあります。私にとって身近な出来事を通して、行ってはいけない場所を教えてくれていることが、とても分かりやすいです。将来は先生や難民キャンプの教育部会など、教育に関わりたいです。子どもたちに教えるときは、この絵本や過去にシャンティから出版された絵本を使って教えたいと思います。素晴らしい絵本をご支援くださり、ありがとうございました。

事業概要

1.事業名称:
2019 年度 ミャンマー(ビルマ)難民キャンプにおけるコミュニティ図書館を通じたノンフォーマル教育支援事業
2.協力機関:
難民キャンプ委員会、カレン難民委員会教育部会、キャンプ教育部会事務所、図書館委員会
3.支援者名:
株式会社 俄
4.実施団体:
公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会
5.事業実施対象地:
タイ国境 7ヵ所のミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
6.事業実施期間:
2019年1月~12月末日
7.受益者:
7難民キャンプ15館図書館利用者 延べ 305,891人(子ども:190,595人、18歳以上の大人:115,296人)

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