知ったことではない

2014 年度

知ったことではない

著者:ポー・レイ・テイ

絵:ソー・チョー・ケイン

自分には関係ないと思っていたことが、後に自分にも関わる大きな事態に発展してしまう。ほかの人の意見に耳を傾けることの大切さをまなぶことができるおはなしです。

絵本のおはなしは誰がつくったの?

出版を支援した「知ったことではない」のおはなしは、ミャンマー(ビルマ)の民話をもとに、2013 年にメラ難民キャンプ出版委員会のポー・レイ・テイ氏によって分かりやすく書き直されました。

絵は誰がかいたの?

絵はメラ難民キャンプに住むソー・チョー・ケイン氏によって描かれました。彼は、難民キャンプで活動するカレン学生ネットワークグループの一員であり、難民キャンプ内で学生や若者を対象にして芸術活動を含む様々な活動を実施しています。

どうやって出版したの?

シャンティ国際ボランティア会(SVA)の現地スタッフと、メラ難民キャンプの出版委員会が協力して出版しました。民話出版は、これまで難民キャンプ内で主流のカレン民族の作品を多く出版していたそうですが、難民キャンプ内には様々な民族が暮らしており、これらの民族の文化や背景を理解し、お互いに理解、尊重しあうことが大切になるため、双方の話し合いの結果、2014 年ミャンマー(ビルマ)族の民話を出版することに決定したそうです。このお話は、カレン語以外に、ビルマ語、英語にも翻訳され、この作品のカレン語版には、英語も併記されています。子どもたちがお話を楽しむことに加え、英語を含む2言語での併記は、難民キャンプ内の子どもたちや若者の英語学習のために非常に有効になるだろうという思いが込められているそうです。

絵本ができるまで。できてから。

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド1

    1. ソー・チョー・ケイン氏によって描かれた下絵

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド2

    2. 出版担当スタッフによるおはなしと絵の編集

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド3

    3. カレン語と英語で記載

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド4

    4. 印刷を終えた、『知ったことではない』の絵本(カレン語版)

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド5

    5. 完成 絵本の裏表紙(カレン語版)

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド6

    6. 各難民キャンプへ配布される絵本の準備

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド7

    7. 絵本が難民キャンプに届きました!

  • 「絵本ができるまで。できてから。」スライド8

    8. 難民キャンプの図書館で絵本を読む子どもたち

子どもたちの声

ソー・エー・ゲー・ドーくん

ソー・エー・ゲー・ドーくん

11歳

ウンピアム難民キャンプ

僕は小学校4年生です。5人家族で、兄と姉が1人ずついます。水汲みや家の掃除が、僕の家での役割です。友達とサッカーをして遊ぶのが大好きです。また放課後時間があるときには、塾に通って学校での勉強とは別に、1時間勉強しています。図書館は大好きで、時間があるときは、よく行きます。図書館に来れば、本を読むことで、学校では学ぶことのできない知識などを得ることができます。僕のお気に入りの絵本は『知ったことではない』です。このおはなしは、たとえ小さなことでも、放っておけばその内大きな問題になってしまうということを教えてくれます。特に一滴のハチミツが原因で、人々が闘っているシーンが心に残っています。他の人の言うことに耳を傾けることの大切さを、この絵本から学べたと思います。将来の夢は、お医者さんです。医者になってカレン人を始めとする貧しい人々の助けとなりたいです。このおはなしはもちろん、図書館にある他の多くの絵本からたくさんのことを学ぶことができます。ご支援ありがとうございました。

ノー・タ・セイさん

ノー・タ・セイさん

12歳

ウンピアム難民キャンプ

私は小学校4年生で、家族7人で暮らしています。兄が1人で、4人姉妹の3女です。家の手伝いは、ご飯を炊いたり、水を汲んだりすることです。自由な時間は図書館に行って読書をしたり、友達と一緒にサッカーやフリスビーをして遊ぶことが多いです。図書館へは週に3~4回通っています。図書館では、たくさんの本を読むことができ、色々なことを学べるので、大好きな場所のひとつです。私は、『知ったことではない』という絵本が好きです。この絵本は、読む人に大事なことを教えてくれます。たとえ小さなことでも、何もしないでいると大問題になるかもしれないということです。そして、他の人の意見や知識を無視していては、良くないことが起きるということを私はこの絵本から学びました。将来の夢は先生になり、子どもたちに教えることです。図書館にあるたくさんの本のおかげで、キャンプで生活しているだけでは知ることのできない、違った世界を知ることができます。日本のご支援者の皆様に感謝ています。素晴らしい絵本をありがとうございました。

事業概要

1.事業名称:
2014 年度 ミャンマー(ビルマ)難民キャンプにおけるコミュニティ図書館活動
2.協力機関:
カレン難民委員会教育部会(KRCEE)、各難民キャンプ委員会、キャンプ教育部会事務所(OCEE)、図書館委員会、出版委員会
3.支援者名:
株式会社 俄
4.実施団体:
公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会 東京事務所、ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所
〒160-0051 東京都新宿区大京町31 慈母会館2、3 階
(http://sva.or.jp/)
5.事業実施対象地:
タイ国境 7ヵ所のミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
6.事業実施期間:
2014 年 1 月~12 月
7.受益者:
図書館利用者 454,946 人

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